甘味とボディが特徴。サッカーからコーヒーへ転身した生産者さんのコーヒー。
ネパールのコーヒー栽培歴史

ネパールでのコーヒー栽培は、1938年にヒラ・ギリさんがビルマ(現ミャンマー)からコーヒーの種子を持ち込み、グルミ地方に植えたことに始まります。
当初はほとんど注目されることなく、長らく小規模な栽培が続きました。
しかし、1970年代後半、政府が主導してインドから種子を輸入・配布するとともに、グルミ地方をコーヒー生産地域として指定したことで、
ネパールにおける商業的コーヒー生産が本格的に始まりました。
1990年代には、ネパール全土でコーヒー農園の拡大と生産量の増加が進み、
コーヒー産業を管理・統括するための制度的な仕組みの必要性が認識されるようになりました。
その結果、Nepal Tea and Coffee Development Boardが設立され、生産組合や農家の組合なども発足しました。
2002年頃からは、国内外のマーケット拡大に伴い、コーヒーが換金作物として注目されるようになりました。
近年では、トウモロコシ畑や水田をコーヒー栽培に転用する生産者も増えています。
サッカーからコーヒーへ

ネパール出身のアミットさんは、お父さんの仕事の関係でインド・デリーで育ち、プロのサッカー選手を目指していましたが、
試合中の接触で怪我を負い、プロになる夢が断たれます。その後、デリーでの会社勤務を経てネパールに戻り、
カトマンズで旅行業に従事しながら、ジュニアサッカーのコーチを務めていました。
その際、サッカークラブとの試合を通じて日本とのつながりができ、2013年にジュニアサッカーの指導者として招聘(しょうへい)。
それがはじめて来日となりました。
日本の滞在期間中に、アミットさんは、日本ではネパールでコーヒーが栽培されていることすら知られていないことに気づきます。
これをきっかけに、ネパールの素晴らしいコーヒーを日本の人々に届けたいという思いを抱くようになり、
コーヒーに携わる道を歩み始めたのです。
生産地での活動に注力する

アミットさんは、ネパール産のスペシャルティコーヒーを日本で販売するためには、自社で農園を管理をし、
コーヒー栽培について生産者さんに伝える必要があると考えるようになりました。
その頃、今回お届けするコーヒーを生産している農園と出会います。
ご高齢のご夫婦から農園を手放したいと相談を受けたことをきっかけに、購入を決め、自社農園として運営を始めました。
現在、農園では有機農法に取り組んでおり、過酷な山岳環境の中で質の高いコーヒー豆を生産する生産者さんには、
プレミアム価格を乗せて報酬を支払っています。また、地滑り防止やコーヒーの生育に必要な日陰を提供するため、
シェードツリーも植えています。さらに、アミットさんのお父さんが経営するネパール南部のタライ平原、
チトワン国立公園に隣接する農園でもコーヒー生産しています。絶滅危惧種のベンガルトラやインドサイが生息する、
豊かな自然が残る世界自然遺産の地域で育まれたコーヒーです。
イエティとは?

イエティとは、ネパールでヒマラヤの守護神と信じられている神秘的な生物です。
外見は大きくて恐ろしい印象ですが、内面は優しく柔らかいとされており、
コーヒーと向き合う姿に重なることから「イエティ」と名付けられました。
「生産地での活動にもっと注力していきたい。」と語るアミットさん。これからのご活躍が楽しみです。
そんなネパールの香りを楽しんでみませんか?